エスプレッソの意味や入れ方は、あまり知られていない?
エスプレッソと聞いて、あなたはどんなイメージをお持ちでしょうか?
最近では、スターバックスなどの大手コーヒーチェーンで、エスプレッソはずいぶんと親しまれるようになりましたよね。
なので、何となく「マシンで入れる濃いコーヒー」という認識をお持ちの方はいると思います。
しかし、エスプレッソの意味や特徴、ドリップと何が違うのかと聞かれれば、答えられない人の方が多いのかも知れません。
そこで今回は、エスプレッソの意味や特徴、ドリップとの違い、入れ方等について詳しくお伝えします。
エスプレッソの意味は?ドリップとの違いは?
まず、エスプレッソの意味は「急行=エキスプレス」から来ているといわれています。
高圧のスチームで入れるエスプレッソは、ネルやペーパーなどのフィルターで濾すドリップとは、抽出法そのものが違います。
エスプレッソは、抽出方法そのものを指しています。
そのため、飲み物として呼ぶのであれば「エスプレッソコーヒー」というのが自然でしょう。
ちなみに、紅茶でエスプレッソと名前のつく商品があります。
・・・が、これは「紅茶をエスプレッソで入れた」という意味で使われてます。
なので、混乱しないように「エスプレッソ=抽出方法」と覚えておいてくださいね。
エスプレッソコーヒーの特徴は、以下の2つがあげられます。
- エスプレッソの専用の器具による特徴
- 豆の煎り具合・挽き具合による特徴
では、分かりやすく説明しましょう。
(1)エスプレッソの専用の器具による特徴
エスプレッソでメジャーな抽出方法は、電気式のエスプレッソマシンを使ったものです。
直火式という器具もありますが、それについては後でまた触れます。
エスプレッソマシンは製造メーカーや、マシンの種類によっても味が変わります。
ただ、どのマシンでもエスプレッソの表面に浮かぶクレマというコーヒーの旨味成分を大切にしています。
ちなみに、クレマはドリップコーヒーでは味わえません。
なので、ここはコーヒーの味わいという意味でドリップとは大きく違う部分になります。
- ドリップはドリッパーでじっくり抽出する
- エスプレッソはスチームで一瞬で入れる
だから、このような味の違いが出るわけです。
もちろん、どちらを選ぶかは人それぞれですけどね^^
(2)豆の煎り具合・挽き具合による特徴
エスプレッソでは、深煎りで細挽きされた専用のコーヒー豆を使います。
なぜなら、深煎りのコーヒー豆を「細かい粉」にして入れることが大切だからです。
ドリップとは違って、エスプレッソはスチームで加圧して急速に入れるため、細挽きでないと旨味が出ません。
つまり、専用の器具とエスプレッソ用のコーヒー豆がなければエスプレッソコーヒーの特徴が出ないわけですね。
では、そんなエスプレッソ用のコーヒー豆について、詳しく見て行きましょう。
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・・・というのは、初めてエスプレッソに挑戦する人からよく聞かれる質問です。
エスプレッソの豆は、前述したように「深煎り&細挽き」がポイントとなります。
エスプレッソの特徴は苦みとコク。
なので、豆本来の味も大切ですが、深煎りで細挽きであることが非常に重要なのです。
深煎りにすれば、酸味よりも苦みが出るのはどのコーヒーでも同じですからね。
特に、たっぷり砂糖を入れる場合は、味のバランスを保つためにも欠かせないのが、この苦味なのです。
そして、もう一つのエスプレッソコーヒー豆の条件は「細挽き」であること。
それも、パウダー状に近いほどの細挽きです。
スチームを使って加圧することで急速にコーヒーの旨味を出すのがエスプレッソという抽出方法。
なので、細挽きでしかエスプレッソの「うま味」を出すことができないのです。
だから、専門店でエスプレッソ用の豆を注文すると、細挽きで深煎りのコーヒーの粉を用意するわけですね。
ところで、高温で細挽きのコーヒー豆だと「イヤな苦味や雑味が出そうだ」と心配される方がいるかも知れません。
その点は、どうぞご安心ください。
コーヒーのうま味成分は高温でスピーディーに抽出されますが、イヤな味が出るのには、実は、ある程度の時間がかかるのです。
そのため、エスプレッソではうま味だけをギュッと凝縮したコーヒーを味わうことが出来るわけですね。
さて、エスプレッソのコーヒー豆の選び方も理解できたと思いますので、次はエスプレッソの入れ方ついて説明をしましょう。
エスプレッソの入れ方は?マシンと直火式(マキネッタ)
エスプレッソの入れ方はざっと分けると、マシンと直火式の2つがあります。
マシンは電気で動くコーヒーメーカー、直火式は、直接火にかけエスプレッソコーヒーを抽出する器具です。
それぞれに特徴がありますので、説明しましょう。
(1)エスプレッソマシンの入れ方
日本でエスプレッソというと、ほとんどがエスプレッソマシンで入れたものをイメージするでしょう。
エスプレッソマシンは、高い加圧で素早く美味しいエスプレッソコーヒーを入れることができます。
加圧の方法は様々で、蒸気式・ポンプ式・レバーピストン式・全自動式などです。
最近では、モバイル式という加圧の方法も出てきました。
この中ではポンプ式が9気圧と、エスプレッソに一番適した圧力をかけられます。
ところで、マシンで入れると聞くと、ポンとボタンを押してカンタンに入れられると思いますよね?
しかし、エスプレッソに関しては熟練した技も必要です。
タンピングというコーヒーの粉をギュッと詰める作業などがありますが、それだけでも味の違いが出てしまいます。
たとえば、コーヒーショップでも苦いだけのエスプレッソコーヒーに出会うことがあります。
注文をしてクレマのないエスプレッソコーヒーが出てきたら、味の保証はないと思った方が良いでしょう。
なぜなら、クレマがないということは、すなわちエスプレッソを入れるバリスタの腕が悪いということだからです。
自分でエスプレッソマシンを購入した場合には、クレマがしっかりと出るコーヒーをぜひ味わいたいですね。
ちなみに、マシンの粉の投入方法は、各社ごとに工夫をしています。
たとえば、直接フィルターホルダーに入れるもの、1杯分を紙パックにいれたもの、独自のカセットに入れたものなどなど・・・
エスプレッソは専門店で飲むというイメージがありますが、マシンにも業務用と家庭用があります。
なので、もし家庭でエスプレッソコーヒーを楽しみたいのであれば、家庭用を選ぶと良いでしょう。
続いて、もっとお手軽で安価に済ませられる、直火式のエスプレッソ(マキネッタ)について説明しましょう。
エスプレッソの直火式(マキネッタ)の入れ方
エスプレッソの器具には、もう一つマキネッタと呼ばれる直火式タイプがあります。
入れ方は、とてもカンタン。
まず、水とコーヒーの粉を入れてマキネッタをセット。
それから、ガスなどの火にかけるだけでエスプレッソコーヒーができるのが直火式の良いところです。
エスプレッソマシンに比べ、場所も取りませんし、見た目もおしゃれ、安価と家庭で飲むのには最適な器具と言えるでしょう。
マキネッタという名前も可愛いですね。
実際、イタリアでは家庭でよく使われています。
日本における日本茶の急須感覚と考えてください。
ただ、電気式のものに比べ圧力が弱いため、エスプレッソコーヒー本来のコク、旨味は弱いといえます。
味を追求してエスプレッソマシンで楽しむか、カンタンに安価なマキネッタで楽しむかは、人それぞれです。
自分なりに、マシンと直火式の入れ方や味を比較して、選ぶのも楽しいですね。
ところで、こんなに魅力的なコーヒーなのにも関わらず「エスプレッソは量が少ない!」と不満に思ったことはありませんか?
実は、それには、本場イタリアならではの、深~い理由があるんですよ。
エスプレッソの量が少ない理由!普通のコーヒーの3分の1しかない?
エスプレッソは1杯が大体30ccです。
ドリップで入れたコーヒーが1杯120~140ccですから約3分の1の量といったところでしょう。
では、なぜエスプレッソはこのように少ない量になったのか?
それは、2つの理由が大きく影響をしていると言われています。
(量が少ない理由1)歴史的な背景
1つ目の理由は、歴史的な背景にあります。
昔、ナポレオンの経済封鎖によるコーヒー豆の減少で少量のコーヒーしか提供できなくなりました。
そのことが、ヨーロッパでエスプレッソが誕生するきっかけとなったんです。
コーヒー豆が手に入らないならば、小さなカップでコーヒーを!
・・・というアイデアが、のちのエスプレッソで使われるデミタスカップの誕生にもつながります。
デミタスとは、エスプレッソ専用のカップのことです。
デミタスカップで飲むことは、エスプレッソコーヒーの特徴と上手に付き合う結果にもつながったのです。
加圧することで抽出するエスプレッソは、濃厚な苦味のあるコーヒーができます。
エスプレッソは苦みと砂糖の甘さのバランスをデザートのように楽しむことが多いので、苦さは大切な特徴です。
逆に、苦みが強いことは、ドリップなどのコーヒーよりもカフェインの含有量も多いことを示します。
ただ、エスプレッソは1杯あたり30ccと少量。
なので、総合的に見ればドリップよりもカフェインの摂取率が少なくなります。
つまり、小さなデミタスカップでエスプレッソを飲むことは、カフェインの過剰摂取を抑えるという好結果を生みだしているのです。
一日に何度もエスプレッソを楽しむイタリアだからこそ、生まれた風習とも言えるかもしれませんね。
(量が少ない理由2)楽しみ方の違い
2つ目の理由は、イタリアでのエスプレッソの楽しみ方の違いにあります。
コーヒーブレイク。
これは、朝の支度が一段落ついたとき、午後の休憩のとき、ほっと一息つきたいときや気合を入れたいときに取ります。
ドリップコーヒーなら、ゆっくりと時間をかけて楽しみますが、エスプレッソコーヒーは2~3口で飲みほすのが特徴です。
人によっては1口という場合も。
砂糖を入れ、軽くかき混ぜサッと飲む、それがエスプレッソコーヒーの流儀です。
これは、エスプレッソコーヒーの表面に浮かぶクレマの旨味を壊さず楽しむため発達した飲み方といわれています。
溶け残った砂糖はスプーンですくってしっかり食べ、残しません。
イタリアのナポリでは濃厚なチョコレートのような味を楽しむべく30~40回もかき混ぜますが、飲み方はやはり素早くです。
なぜ大切なコーヒーブレイクでも素早く飲むのか、というとエスプレッソは芳醇な香りを楽しむコーヒーであるから。
30ccしかないエスプレッソコーヒーはじっくりと時間をかけては冷えてしまい香りを最後まで楽しめません。
だから、砂糖を入れかき混ぜ終わったらサッと飲んでしまうのです。
また、イタリアでは朝、仕事前にバールという喫茶兼居酒屋でエスプレッソコーヒーを飲んで出社するのが日常の風景になっています。
濃く入ったエスプレッソコーヒーは気付け薬のような意味もあるため、サッと飲んで出勤というスタイルには少ない量がちょうど良いのです。
歴史的な背景、イタリア人の楽しみ方の違い、この2つがエスプレッソの量が少ない理由だったんですね。
さて、エスプレッソの意味や入れ方についていろいろとお伝えしましたが、最後にまとめましょう。
まとめ
今回は、エスプレッソの意味や特徴、入れ方についてお伝えしました。
エスプレッソは急行という意味がありますが、コーヒーの抽出方法です。
ドリップとの違いは、入れ方やコーヒー豆の焙煎度、挽き方などでした。
エスプレッソの入れ方は、電気式のマシンと、直火式のマキネッタがありましたね。
エスプレッソコーヒーの量が少ないのは、歴史的な背景や、楽しみ方に違いがあったからだとは驚きました。
さて、私も近所に見つけたエスプレッソ専門店にこれからエスプレッソコーヒーを飲みに行ってきま~す。
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