サイフォンのコーヒーとは?
サイフォンはコーヒーに詳しい人だけが持つものと思ってる人は結構いるようです。
しかし、実際、喫茶店でよく見かけるサイフォンは、誰もが使える道具で、高嶺の花ではありません。
使い方さえ分かれば、誰もが簡単においしいコーヒーが入れられるのです。
粉の投入のタイミング、お湯の熱し方、お手入れ。
一歩踏み出すだけであなたのサイフォンへの道は拓けます。
もっとサイフォンのことを知ってほしい、そんな思いを込めて今回はサイフォンについて説明していきます。
サイフォンコ―ヒーの特徴は3つあった!?
サイフォンのコーヒーの特徴は、どんなことにあるのでしょうか?
もちろん、言い出せばいろいろとありますが、今回は3つに絞ってお伝えします。
- 見た目がお洒落
- 蒸気圧による抽出法
- 爽やかな酸味のコーヒーが入れられる
それでは、具体的に説明して行きましょう。
サイフォンの特徴は、なんと言っても見た目の「お洒落さ」にあります。
喫茶店などで、その美しいフォルムに魅せられて、トライしてみたいと思った方も多いことでしょう。
サイフォンの本体は上がロート、下がフラスコと呼ばれるガラス製です。
下のフラスコ内のお湯がコポコポとして管を伝い、上のロートへ移動しコーヒー液となり、またフラスコへ落ちていく。
そんな一連の流れを、ゆっくり眺める時間は「至福のひと時」とも言えますよね。
ハンドドリップは手軽に入れられる道具ですが、サイフォンのような一連の流れの美しさや華やかさは、味わうことができません。
エスプレッソも特別感のある道具ですが、やはりサイフォンのような見た目を期待することはできないでしょう。
華やかでお洒落で、見る者を楽しませてくれる。
そんな他の道具にはない特徴を持っているのがサイフォンの一番の魅力なのです。
そして、このコポコポとコーヒーに変化する動きで重要なのがフラスコを温める熱源です。
サイフォンに昔から使われている熱源と言えば、アルコールランプですよね。
あのユラユラと揺れる炎を静かに見つめているだけでも「癒し効果」はバツグン!
コーヒーマシンはボタン操作で気軽にコーヒーが飲めます。
しかし、お湯の動きや炎の癒し効果、使わない時でもインテリアになるというのは、サイフォンでしか味わえないオリジナルの特徴と言えるのです。
サイフォンの2番目の特徴として挙げられるのが、その特殊な抽出法です。
サイフォンは、蒸気圧でコーヒーを入れるというのが特徴です。
蒸気圧は、ロートに「ろ過機」というフィルターを取り付け、フラスコにセットし、アルコールランプで熱することにより作り出します。
フラスコ、ロート、アルコールランプ・・・
そう!その姿は、まるで理科の実験のよう!(笑)
最近では、熱源にアルコールランプではなく、ビームヒーターというものを使用することも多くなりました。
熱源についての詳細は「サイフォンの使い方」で触れますが、アルコールランプでもビームヒーターでもどちらでも美味しくコーヒーを入れることができます。
サイフォンコ―ヒーの味の特徴は、爽やかな酸味を楽しめることにあります。
逆に言えば、ネルドリップやエスプレッソのように濃くて苦いコーヒーが好きという方には向かない器具です。
また、コーヒーメーカーのようにボタン一つで時間をかけずにコーヒーを楽しみたい方には、少しまどろっこしく感じられるかも知れません。
しかし、コーヒーを抽出するゆったりとした時間と、爽やかな酸味のコーヒーを楽しみたい方には、打ってつけなのがサイフォンという抽出器具なのです。
爽やかな酸味が特徴のコーヒー器具ですから、コーヒー豆は「浅煎り」「中浅煎り」くらいのものを使うのが主流です。
豆の挽き方も、中挽きよりも少し粗挽きを使うのがおススメです。
そして、そんなサイフォンの爽やかな酸味は、使い方さえ覚えてしまえば誰でも作ることができます。
では、これから誰もが失敗なく美味しいコーヒーを入れられるサイフォンの使い方について説明しましょう。
サイフォンの使い方!手順を知ればだれでもカンタン?
まず、サイフォンでコーヒーを入れるときに、必要なものからご紹介します。
- ロート&フラスコ
- アルコールランプORビームヒーター
- 竹べら
- ネルフィルター(サイフォン専用)
- ろ過機(サイフォン専用)
- メジャースプーン
- コーヒーの粉
- (1杯分の湯量160ccの場合:中細挽き10g・中挽き15g・粗挽き18g)
- 細口ドリップポット(なければ普通のやかんでOK)
- タイマー
- カップ
では、道具がそろったら、早速入れてみましょう。
買ったばかりのサイフォンを使用する時には、付属している「専用ネルフィルター」を煮沸する必要があります。
ネルフィルターをぬるま湯でよく洗い、コーヒー液で20分ほど煮だした後、ろ過機に取り付けてください。
煮出し用コーヒー液の目安は水1Lに対しコーヒーの粉10g。
新品は糊(のり)を洗い落とす必要がある他、コーヒー液で煮だすことでコーヒーとフィルターが馴染みやすくなります。
ネルフィルターについている2本のヒモを、サイフォン専用のポールチェーン付きろ過機に結びつけますが、ろ過機に合わせ「余り布」がないようにしましょう。
ネルフィルターは毛羽立っている方が表面になるようにろ過機につけてください。
続いて、ロート(ガラス容器の上部分)にお湯を通し、ネルフィルターを取り付けてください。
ネルフィルターをつけたろ過機は、管の先端部にその留め金をしっかりと引っかけロートに固定をさせます。
引っかけ終わったら、ろ過機がロートの真ん中からずれていないかをキチンと確認しましょう。
フラスコ(ガラス容器の下部分)に、沸騰させたお湯を入れます。
その際、乾いた布でフラスコの外側をよく拭いてください。
フラスコを拭く理由は、もし濡れたまま熱すると割れてしまう恐れがあるからです。
ガラス製なので「外側をしっかりと拭く」ことは絶対に忘れないでください。
フラスコ表面に水滴がないのを確認したら、アルコールランプORビームヒーターで熱します。
次に、ロート(ガラス容器の上部分)に人数分のコーヒーの粉を入れます。
下にあるフラスコのお湯が沸騰するまでは、ロートが斜めになるように、軽く差し込んでおきます。
少し時間が経つと、ロートから下へ垂らしたポールチェーンにお湯が伝り、上り始めます。
それは、完全にお湯が沸騰をしたサインだと覚えておきましょう。
上り始めるのが確認できたら、ロートをゆっくりとフラスコに差し込んでください。
ここで注意点が一つあります。
沸騰したからと慌てて差し込むと、一気にお湯が吹き上がって火傷の原因となりますから「ゆっくりと」差し込んでくださいね。
最初斜めに差し込むのも、沸騰してからゆっくりと差し込むのも、沸騰したお湯が噴き出さないようにするためなのです。
ロートにお湯がのぼってきたら、お湯とコーヒーを馴染ませるため、竹べらで円を描くように数回かき混ぜます。
これが、1回目の撹拌(かくはん)ということになります。
その際、竹べらは雑味を防ぐためにも、絶対、ろ過機に触れないようにしてください。
かき混ぜ終わったらタイマーをセットし、弱火で30秒ほど待ちます。
この弱火の時間は、好みにより15~45秒くらいです。
ただ、基本である30秒間を待ち時間に設定する人がとても多いので、ここでは30秒をさせていただきました。
最大1分を超えなければ大丈夫なので、経験に応じて試すと良いでしょう。
待っている間、ロートの状態を確認します。
上から「泡・コーヒーの粉・抽出液」の3層になっていることが確認できたら、フラスコを熱するのをやめ、竹べらでロート内をかき混ぜます。
ところで、なぜ撹拌(かくはん)を2回する必要があるのでしょうか?
実は、1回目はコーヒーとお湯を馴染ませるため、2回目はロートからフラスコにコーヒー液をスムーズに落とすためです。
フラスコの温度が下がり、竹べらでかき混ぜればコーヒー液は下がりますが、ロートのコーヒー液がなかなか落ちてこないときがあります。
そのときは、フラスコを「布巾(ふきん)」などで包み温度を下げてください。
フラスコはとても熱くなっていますから決して素手で触らないよう注意しましょう。
フラスコに、コーヒー液が完全に落ちきったら出来上がりです。
ロートを外し、フラスコに入ったコーヒーをカップに注ぎましょう。
ちなみに、飲む前にでも、ロートに残ったコーヒーカスを観察してみてください。
ドーム状に盛り上がった表面に細かな泡、下がるほどに粗目のカス層となっていれば、クリアな味わいのコーヒーに仕上がっている目安です。
サイフォンのコーヒーは、慣れれば誰でもカンタンに入れられますので、ぜひトライしてくださいね。
さて、美味しくサイフォンのコーヒーを入れた後は、やはり後片付けが大事。
サイフォン器具の掃除やお手入れについてお伝えしましょう。
常に変わらず美味しいサイフォンコーヒーを楽しみたいのであれば、掃除やお手入れはとても重要なポイントですよ。
器具の掃除や手入れはどうするの?
サイフォンの掃除やお手入れは、慣れてしまえばとてもカンタンです。
早速、手順をお伝えしましょう。
まずは、ロートを逆さまにして、コーヒーのカスを捨てましょう。
その際、残っているコーヒーのカスは叩いて浮かせてから捨てます。
ロートの管や丸いフラスコなど、サイフォンの形状はスポンジでは洗いにくいです。
なので、細い棒やスプーンに布をつける、もしくは100円ショップで売っているようなペットボトル用やストロー洗浄用の道具などで洗いましょう。
ただ、それだけだと、使っているうちに段々と、フラスコの内側にススのような黒っぽいものがついて取れなくなってしまいます。
この黒いススのようなものは、いわば「コーヒー渋」のようなものです。
茶渋(ちゃしぶ)と同じく、台所用の塩素系漂白剤で落とせますので、定期的に漂白するようにしてください。
やり方は、とてもカンタン。
水5Lに対し台所用塩素系漂白剤50㏄を目安に作り、30分放置しすすぐだけです。
他に金属部分の汚れが気になる場合は、スプレー式の台所用漂白剤をかけ流水ですすいできれいにしましょう。
漂白剤というと臭い残りが気になるかもしれません。
でも、乾けば臭いはなくなりますので安心してお使いください。
ロートにセットしていたネルフィルターは、乾燥をさせると良いような気がしますが、実は「乾燥はNG」です。
乾燥をさせると、フィルターにしみ込んだコーヒー成分が酸化し嫌な臭いの元になります。
ですから、ろ過機にネルフィルターをつけたまま、お湯で煮沸してコーヒーの粉を完全に取り除きましょう。
その後、容器に水をたっぷり入れて、ネルフィルターが空気に触れないようにヒタヒタに浸し、冷蔵庫などで保管してください。
水は毎日取り換えることが大切です。
さて、このように、サイフォンは入れた後にもキチンと手入れを行うことで、常に一定の味を保つことが可能になります。
ところで、サイフォンの使い方は分かったけど、どのメーカーを選べばいいの?という声が聞こえてきそうですね。
そこで、最後にサイフォンのおすすめメーカーを、5つピックアップしてご紹介しましょう。
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おすすめ5選!多くのファンに愛されてるサイフォンは?
イギリスで生まれたサイフォン式コーヒーは、出来上がるまでの過程が華やかなため、ファンは多いです。
そんな多くの方に愛されているサイフォンのメーカーのおすすめを5つ紹介します。
コーヒーサイフォンモカ3人用が人気です。
サイフォンはデザイン的にもインテリアとして楽しめますが、場所を取るのが難点です。
だからといって、少人数用ではコーヒーを淹れるのに不便ともいうこともあり、3人用が選ばれるのでしょう。
アルコールランプで入れる5分程度の時間は電気では味わえない魅力と支持されています。
ペーパーフィルターも使えるので便利ですよね。
ちなみに、ハリオのテクニカというブランドは業務用として多く扱われ、ワールドサイフォニストチャンピオンシップ公式器具でもあります。
KONOは、サイフォンのパイオニア的存在のメーカーで、レトロなデザインと細部の作りこみが人気です。
こちらのサイフォンのコーヒー抽出に理想的といわれる名門円錐フィルター。
これは、創業者の「コーヒーの持ち味を素直に抽出する」というモットーから生まれました。
そのため、今もより良い味を出すために改良が続けられています。
サイズは各種ありますが、5人用を4人用に順次変更しているので、コンパクト化を求めるユーザーが多いのかもしれません。
1982年にラッキーコーヒーマシーンが高品質でリーズナブルな機器開発をモットーに開発したブランドです。
機能性やデザイン性、価格にこだわった商品展開ですが、製造をハリオが行っているため、企画はテクニカシリーズと同じです。
日本で唯一アルコールランプでない電気式のサイフォンを出したメーカーです。
アルコールランプのように火加減の調節やアルコールの継ぎ足しを気にせず、美味しいコーヒーを飲めると支持されています。
やかんでお湯を沸かす必要がなくフラスコに水を入れ電気で沸かす、というのもうれしいポイントですね。
TIAMO、YAMA、帝国Diguo、KitchenAidoなどのサイフォンが知られています。
どれも優れたデザイン性で優秀なサイフォンですが、日本製に比べ付属品の購入など、品ぞろえでマイナスな面が問題かもしれません。
しかし「このデザインに惚れた!」となれば購入をしてもOKでしょう。
ところで、サイフォンの熱源は、最近ではアルコールランプ以外もあります。
蒸気圧式で重要である熱源についても、3つご紹介しましょう。
サイフォンのおすすめ熱源3選!
昔からあるために製品展開が非常に豊富です。
サイフォンをセットで購入すると大抵はアルコールランプがついてきます。
満タンで1時間程度使えます。
なので、アルコールの継ぎ足しが面倒と言われつつも、1回のサイフォンの抽出時間は5分程度なので十分だと思います。
着火はライターやマッチを使います。
ただ、繊維製の芯は出し加減で火力を調節しなければいけないので、この部分は慣れるしかありません。
野外やエアコンでさえも炎に影響がありますが、癒されるということでアルコールランプに魅力を感じる人も少なくありません。
火力調節が簡単ですし、保温にも使えるとあって最近人気があります。
安全性の面からも注目されているビームヒーターですが、難点は本体価格が高いこと。
予算が許せば手に入れることを考えても良いかもしれません。
自動着火装置もついているので、火力調節が可能ですし複数口あるので便利です。
しかし、こちらは家庭用というよりも業務用で、お店でサイフォンを使うときに使する熱源でしょう。
さて、おすすめのサイフォンや熱源をご紹介しましたが、いかがでしたか?
ぜひ自分の好みに合った器具を見つけて、サイフォンコ―ヒーを美味しく入れてみてくださいね。
まとめ
今回は、サイフォンコーヒーの特徴、使い方、メーカーについて紹介をしました。
サイフォンは蒸気圧を使って入れるコーヒーで、他の抽出方法より演出効果が期待できる、ということがわかりました。
ガラス製の本体やネルフィルターは洗い方や保存法に注意が必要です。
ただ、一度手順を覚えれば誰もが楽しめます。
5つのメーカーを紹介しましたが、デザインや工夫も楽しいサイフォンの魅力を感じていただけたと思います。
サイフォンでゆったりとした至福のコーヒータイムを楽しみませんか?
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